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むかしむかし、山のふもとにやさしいおじいさんが住んでいました。おじいさんの名前はタロウといいます。
タロウおじいさんは毎日、村の人たちのお手伝いをしていました。重い荷物を運ぶのを手伝ったり、困っている子どもたちに優しく声をかけたり、いつもニコニコしていました。
ある冬の日のこと。タロウおじいさんが山道を歩いていると、小さな白いキツネが雪の中で震えていました。おじいさんは自分のあたたかい服を脱いで、キツネをそっと包みました。
「大丈夫だよ。温まりなさい」
おじいさんは自分の小屋に連れて帰り、三日間、一生懸命にお世話をしました。食べ物も与え、温かい場所で眠らせてあげました。
三日目の朝、キツネはぴょんと立ち上がり、元気になっていました。キツネはおじいさんの前で、ふわりと光に包まれました。
「おじいさん。あなたの優しさと正直な心に感謝します。私は森の精です。お礼をさせてください」

キツネは小さな木製の箱をおじいさんに渡しました。
「これは魔法の灰です。枯れた木にふりかけると、春の花が咲きます。ですが、覚えていてください。この灰は、もっと困っている誰かのためにお使いください」
そう言うと、キツネは光とともに消えてしまいました。
おじいさんは箱を大事に持って、村へ帰りました。
村には、昔から立っている大きな枯れ木がありました。子どもたちはその木が好きでしたが、花が咲かないので悲しんでいました。
おじいさんは、その木に魔法の灰をふりかけました。
すると、どうでしょう!

パッ、パッ、パッ!
枯れた木から、ピンク色の美しい桜の花がいっぱい咲きました。淡い紫の花も、黄色い花も、次々と咲いていきました。
村中の子どもたちが集まってきました。
「わあ!きれい!」
「春がやってきた!」
皆が歓声を上げました。その笑顔を見るおじいさんの顔は、太陽のようにまぶしく輝いていました。
それからも、おじいさんが困っている人に優しくしていると、いつも良いことが起こりました。
この村では、今でも毎年、その木に一番最初に春の花が咲くのだそうです。それはおじいさんの優しさと、正直な心が、いつまでも村を守っているからなのです。
正直で親切な心は、必ず報われる。これは、ずっと昔からの約束なのです。
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