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春の日差しがあたたかくなってきた三月のはじめ、ゆみちゃんのおうちに大きなあかい台がやってきました。
「わあ!」ゆみちゃんは目をきらきらさせました。おばあちゃんが言いました。「今年は、ゆみちゃんがお雛様を飾るんだよ。」
ゆみちゃんはそっと箱をあけました。中には、きれいなお人形たちが、ふわふわの布にくるまれていました。
まず出してきたのは、一番大きなお人形です。きらきらした着物を着た、やさしい顔のお姫様。「これがお雛様だよ」とおばあちゃんが教えてくれました。「女の子の幸せと健やかな成長を願って飾るんだよ。」
ゆみちゃんは大事に大事に、赤い台の一番上に置きました。

つぎに出てきたのは、すてきな紫色の着物を着たお殿様です。「このお殿様はね、お雛様を守る、とても優しい人なんだよ」
ゆみちゃんはお殿様をお雛様のとなりに置きました。二人は仲よく並びました。
さらに下の段には、三人の女の人たち。「これは三人官女だよ。お雛様のお世話をする、とても大事な人たちなんだ」おばあちゃんの説明を聞きながら、ゆみちゃんは丁寧に飾っていきました。
その下の段には、武士のようなたくましい五人の男の人たち。「五人囃子だね。楽器を持っていて、お雛様のお祝いをしてくれるんだよ」
ゆみちゃんは一体一体、大事に飾っていきました。

一番下の段には、小さな家具や、かぼちゃ、あられ、お餅などの食べ物も飾ります。ぼんぼりという明かりも置きました。
「できたー!」ゆみちゃんは両手を叩きました。
おばあちゃんが言いました。「いいね。これからね、毎日このお人形たちが、ゆみちゃんの成長をずっと見守ってくれるんだよ。強く、優しく、そして幸せになってね、という願いが込められているんだ。」
ゆみちゃんはお雛様たちを見上げました。お人形たちの目は、まるでゆみちゃんを見つめているみたい。やさしくて、あたたかい気持ちが、ゆみちゃんの心いっぱいに広がりました。
三月三日のひな祭りの日、ゆみちゃんはお母さんとお祖母ちゃんと一緒に、ひし餅を食べて、白酒を飲みました。そしてお雛様たちに、「いつもありがとう。これからも一緒にいてね」と心の中でお願いしました。
その夜、月の光がお雛様たちを照らしました。まるで、お人形たちがゆみちゃんの幸せを願って、光っているようでした。
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