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たろうくんは、朝からそわそわしていました。今日は運動会の日です。学校の大きなグラウンドでは、たくさんの子どもたちが元気に走り回っていました。
「たろう、かけっこ、がんばってね」とお母さんが応援してくれました。でも、たろうくんの心はどきどきしていました。だって、クラスで一番足が速いけんたくんも、かけっこに出るからです。
「一等賞を取らなきゃ」とたろうくんは思いました。でも、その気持ちは、だんだん重くなっていきました。
ついに、かけっこの時間がやってきました。たろうくんは、スタート地点に立ちました。隣には、けんたくんもいます。お友だちのなおこちゃんもいます。みんな、真剣な顔をしていました。
「よーい、スタート!」

ピストルの音が鳴りました。たろうくんは、一生懸命に足を動かしました。けんたくんは、すぐに前に出ました。でも、たろうくんは諦めません。「頑張れ、頑張れ」と自分に言い聞かせながら、走り続けました。
足が重くなってきました。息も苦しくなってきました。でも、グラウンドの周りで応援している声が聞こえます。「たろう、頑張れ!」「もう少しだ!」という声が。
たろうくんは、その声をもらいました。身体は疲れていましたが、心は強くなりました。けんたくんはもう見えません。でも、たろうくんは走ることをやめません。
ゴールが近づいてきました。最後の力を振り絞ります。足を動かします。腕も力いっぱい振ります。
「うーん」と声を出しながら、たろうくんはゴール地点へ向かいました。

ゴール!
たろうくんは、ゴールを越えました。順位は三等賞でした。けんたくんが一等賞で、なおこちゃんが二等賞です。
でも、たろうくんは悔しくはありませんでした。だって、走り終わった時、心の中がとても温かかったからです。最初は、一等賞を取りたいという気持ちがありました。でも、走っている間に、それよりも大事なことに気づきました。
それは、最後まで頑張ることです。疲れていても、諦めずに走ること。応援してくれている人たちの声を聞きながら、走り抜くこと。
お母さんは、ゴール後にたろうくんを抱きしめました。「たろう、よく頑張ったね。最後まで走りきったこと、それが一番の勝利だよ」とお母さんが言いました。
たろうくんは、その言葉を聞いて、ふわっと笑顔になりました。来年の運動会も、また頑張ろう。そう思いました。
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